Fitwel®
Fitwel® VRM(Viral Response Module)
ESG Solutions: Certified Metrics
1. Fitwel®とは
Fitwel®は、すべての人々の健康づくりに取り組む、人を中心とした不動産認証制度です。この制度は、建物と地域社会が強固な健康とウェルビーングを確立することを目的にしており、7,000を超える学術研究の専門家の分析によって作られました。
この評価システムは the U.S. Centers for Disease Control and Prevention (CDC)とU.S. General Services Administrationによって創設されました。
現在、CDCは研究・評価パートナーとして参画し、運営は U.S. General Services Administrationが行っています。
Fitwel®は、単一のカテゴリーや重点分野に限定されない、相互に関連する健康影響のシステムです。各要件は、少なくとも7つの健康影響カテゴリーのうちの1つに適合するように設計されています。
- ・活動量の増加
- ・安全の促進
- ・罹患率と欠勤率の低減
- ・社会的公平性のサポート
- ・幸福感への関与
- ・周辺地域の健康促進
- ・健康的な食へのアクセスの向上
要件はそれぞれ、科学的根拠と健康への影響力に基づいてポイント配分されています。各要件に割り当てられたポイントは、 Centers for Disease Control and Prevention (CDC)が集めた公衆衛生の第一線の研究者からなる科学諮問グループが決定しています。CDCは各基準の研究の発展に合わせて、要件内容や点数配分について随時更新しています。
Fitwel®は2023年3月にv3を発表し、2023年12月からベータ版が施行されています。
現行のv2.1については2024年中の新規登録と利用は可能ですが、終了時期は未定となっています。
最新情報はこちらをご参照ください。
登録・認証取得件数は、2023年1月現在3,000件以上に上ります。
世界のFitwel®取得情報は以下のサイトから確認することができます。
2. Fitwel®の種類・対象となるプロジェクト
Fitwel®は、すべてのスコアカードに設計・施工段階の物件(Design Certification)と既存物件(Built Certification)のスタンダードが準備されており、プロジェクトごとに選択が可能です。また、必須項目もないため、多様なプロジェクトに適用可能です。
■ SITE(敷地全体)
Fitwel®のSITE(敷地全体)スコアカードは、Community(住宅関連の開発)およびCommercial and Industrial Site (商業・産業関連の開発)で使用します。これらのスコアカードは、主に敷地内で適用される外構、構成、運営、維持管理に焦点を当てています。
・Commercial and Industrial Site Scorecard (C&I)
単一の事業主が所有または管理する連続した敷地と、商業・産業用の建物がある場合に適用します。このスコアカードは、敷地所有者/管理者の管理下にあるすべての屋外エリアと共用エリアに影響するものです。
・Community (CM)
少なくとも住宅ビルがある場合に適用します。このスコアカードは、敷地内のすべての屋外エリアと共用エリアに影響するものです。
■ BUILDING(建物)
Fitwel®のBUILDING(建物)スコアカードは、インテリア設計と運営を重視し、さらに付帯スペースと建物、敷地の連携を評価します。建物のスコアカードは、通勤インフラ、採光、階段アクセスなど、占有者の快適性に重視しています。このスコアカードは、職場、集合住宅、店舗など、さまざまな分野で利用できます。
・Workplace Scorecards
Workplace Scorecardは、評価する建物の状況に併せて4種類のスコアカードが準備されています。
▫マルチテナント・ベースビル・スコアカード(Multi-Tenant Base Building Scorecard:MTBB)
フロアや共用部が複数のテナントによって占有されているオフィスビルに適用します。このスコアカードは、テナントがアクセス可能な共用スペースや、現場スタッフがアクセス可能なビル所有者/管理者のスペースなど、ビル所有者/管理者の管理下にあるスペースに影響するものです。
▫マルチテナント・ビル全体のスコアカード(Multi-Tenant Whole Building Scorecard : MTWB)
フロアや共用部が複数のテナントによって占有されているオフィスビルに適用します。このスコアカードは、テナントスペース、共用スペース、ビル所有者/管理者の管理下にあるスペースを含む、ビル内のすべてのスペースに影響するものです。
▫シングル・テナント・ビル・スコアカード(Single-Tenant Building Scorecard : ST)
フロア及び共用部分を単一のテナントが占有するオフィスビルに適用します。このスコアカードは、建物内の全てのスペースと全ての占有者に影響を与えるものです。
▫商業インテリアスペース・スコアカード(Commercial Interior Space Scorecard : CI)
オフィスビル内の連続したスペースで、単一のテナントが占有または管理しているスペースに適用します。このスコアカードは、単一のテナントが占有するスペースに影響するものです。
・集合住宅スコアカード(Multifamily Residential Scorecard : MFR)
複数の住戸を持つ集合住宅に適用します。このスコアカードは、建物内の全てのスペースに影響するものです。
・小売業用スコアカード(Retail Scorecard : RT)
フロアや共用部が複数のテナントによって占有されている複合商業施設、または単一のテナントによって占有もしくは管理されている建物内の連続したスペースに適用します。複合店舗の場合、このスコアカードは、ビル所有者/管理者の管理下にあるスペース、および来客がアクセスできる共用スペースに影響します。テナントの場合、このスコアカードは、単一のテナントが占有するスペースに影響するものです。
・シニア住宅スコアカード( Senior Housing Scorecard : SH)
高齢者住宅に適用します。適用物件には、自立した生活を提供する物件と、介護付き生活サービスやメモリーケアを提供する物件が含まれます。24時間看護や高度医療を提供する地域は、シニア住宅スコアカードの対象外です。
※キャンパス認証(campus certification)
Fitwel®には、キャンパス全体をFitwel®認証として取得できる機能があります。この認証を希望するプロジェクトは、Fitwel®ポータルを使用して、各建物を個別に登録・認証取得する必要があります。各建物が認証を受けると、キャンパス全体の総合スコアと星の評価は、各建物の平均スコアに基づいて計算されます。キャンパス認証は、Fitwel®のWorkplaceスコアカードを用いて建物の平均スコアを示す一方、SITE(敷地全体)の認証はプロジェクトの外部スペースや公共空間に焦点を当てるため、これらは異なる手順となります。
3. 評価項目(Fitwel® v3)
Fitwel®は、敷地全体と建物の環境性能を様々な視点から評価するため、複数の評価項目を設けています。各項目は、選択(加点)項目のみで構成されています。
Fitwel®の各評価システムは以下の評価項目で構成されています。評価項目、及び要件は選択する認証システムにより異なります。
■SITE(敷地全体) C&I/CM
評価項目、要件の詳細、及び各要件の重みは選択する認証システム(C&I/CM)により異なります。
評価項目名(Category)
評価項目説明
構成とロケーション
敷地へのアクセス
屋外スペース
敷地管理
建物の設計
環境ポリシーと手順
地域社会との関わり
敷地内資産とアメニティ
プログラムと運営
食と水
安全性とレジリエンス
緊急事態
■BUILDING(建物)
WP (MTBB, MTWB, ST, CI )/MFR/RT/SH
評価項目、要件の詳細、及び各要件の重みは選択する認証システム(WP (MTBB, MTWB, ST, CI )/MFR/RT/SH)により異なります。
評価項目名(Category)
評価項目説明
ロケーション
建物へのアクセス
屋外スペース
エントランスと地上階
階段
屋内環境
職場環境/住宅環境
※項目名は以下の通り分類されています。
職場環境… WP (MTBB, MTWB, ST, CI )/RT 住宅環境…MFR/SH
共有スペース
プログラムと評価
食と水
運営とメンテナンス
緊急事態準備計画
4. Fitwel®アンバサダー
Fitwel®アンバサダー(Fitwel® Ambassador)とは、Center for Activer Designが認める専門資格であり、試験に合格した者がFitwel® アンバサダーとなります。
Fitwel® アンバサダーは、認証取得を目指す敷地や建物がFitwel®スコアカードの要件を満たすのに必要なアドバイスを行います。ヴォンエルフにも有資格者が複数在席しています。
5. 認証のプロセス
Fitwel ®は、厳密なダブルブラインド審査を用いて行われます。申請書類の提出および申請作業に関する連絡は、すべてオンラインで行われます。
<申請手順>
1. Fitwel®プラットフォームへの登録
Fitwel®プラットフォームへプロジェクトの基本情報(プロジェクト名、所在地、プロジェクトタイプ、面積、建物利用者数、フロア数など)を入力し、プロジェクト登録が完了した時点で、Fitwel®プラットフォームの利用が可能となります。
プロジェクトを登録すると、スコアカード、ベンチマーク機能、プロジェクトの強みと機会を要約したパフォーマンスデータにアクセスできるようになります。
登録料は、プロジェクトごとに 500 ドルです。
認定料金はプロジェクトの規模によって異なります。価格をご参照ください。
https://www.fitwel.org/certification#pricing
※2024年4月に値上げが予定されています。詳しくはこちらをご確認ください。
https://www.fitwel.org/blog/fitwel-pricing-to-increase-in-2024
※プロジェクト登録から3年以内に認定を取得する必要があります。
2. 申請書類の準備
物件に合った Fitwel®のスコアカードを選択し、申請書類を作成します。
3. 審査
Fitwel®認証の審査は、初回審査と最終審査の2回です。
申請書類が完成したら、 初回審査を行います。審査は2人の独立した審査員が厳正に審査する、「ダブルブラインド審査」の方式がとられています。初回審査完了後、審査結果が質疑事項とともに返却されます。申請者は質疑事項を踏まえ、補強説明を加えた最終審査書類を作成、結果返却から4週間以内に返答する必要があります。
最終審査で確定した得点に応じて、Fitwel®スコアカードとFitwel®証明書が交付されます。
なお、Fitwel®認証を維持するには、3年毎に再審査を受ける必要があります。
6. 評価ランク
Fitwel®の認証レベルは、90~104点で1つ星、105~124点で2つ星、125~144点で3つ星の認定を得られます。(Fitwel®スコアは四捨五入)。前提条件や必須項目の設定はありません。
7. 認証取得にかかる費用
Fitwel®認証取得には、コンサルティングフィーの他にプロジェクト登録費用・認証費用・必要な場合は、プラークやシールの取り寄せにかかる費用が必要です。認証費用は、プロジェクトの延床面積によって異なります。3年毎の更新時にも認証費用・その他、任意のプラークやシール等の費用が必要です。
費用の詳細については、こちらをご参照下さい。
1. Fitwel® Viral Response Moduleとは
Fitwel® Viral Response Module(VRM)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受けて作成されました。この認証は、建物内のウイルス感染を軽減させるための第三者認証と位置付けられています。
この認証では、米国疾病予防管理センター(CDC)と国際的な学術リーダーチームが協力し、厳格な査読を経て最低要件を設定しています。
VRMは、さまざまな事業者が従業員や訪問者などの健康を優先できるように制度設計されており、室内環境の改善、行動変容、その他信頼を築くための多面的なアプローチを用いて構成されています。
2. プロセス
Fitwel® Viral Response Module(VRM)は、以下の3ステップによって認証取得が可能です。
STEP 1 Viral Response 認証 (企業・組織単位)
企業・組織※の方針や実践の有効性を認める認証です。
※企業・組織は、同一の方針を持つ単位ごとにユーザーが定義します。企業全体の場合、地域コミュニティの場合、企業の部門・地域ごとの場合などが想定されます。
審査期間は初回審査と最終審査の2回です。
- 1. 申請書類が完成したら、初回審査を行います。初回審査は、審査結果が質疑事項とともに2週間以内に返却されます。
- 2. 申請者は質疑事項を踏まえ、補強説明を加えた最終審査書類を作成、結果返却から2週間以内に返答する必要があります。
- 3. 最終審査は2週間で返却されます。
STEP 2 Viral Response 承認 (建物単位)
Viral Response 認証で認められたすべてのポリシーと実践に準拠する建物レベルで承認を得ることができます。
審査期間は各拠点ごとに2週間です。
STEP 3 Fitwel® 建物認証 (建物単位)
VRM要件の多くはFitwel®建物認証と互換性があり、Viral Response 承認を得た建物は、Fitwel®認証を取得しやすくなります。
なお、Fitwel® Viral Response Module(VRM)は、Fitwel®認証とは異なり、有効期限は1年間です。
3. 評価ランク
VRMの要件は、エビデンスの強さと健康への影響のレベルに応じて、100%の尺度で重み付けされます。
そのうち、70~89%のスコアを達成した企業・組織は、Fitwel® Viral Response Certified、90%以上達成した企業は、Fitwel® Viral Response Certified with Distinctionとして認められます。
4. 費用
STEP 1 Viral Response 認証 (企業・組織単位)
登録料(初回のみ) | $500 |
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認定料(毎年) | $4,500 |
STEP2 Viral Response 承認 (建物単位)
建物ごと | $500 |
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金額の変更がある場合があります。詳しくは、こちらのサイトをご確認ください。
ESG Solutions: Certified Metrics
1. Certified Metricsプログラムとは
本プログラムは不動産価値の最大化に重点を置いています。多くの企業はESGレポートの一部に健康やウェルビーイングを含めていますが、不動産投資家の半数近くは、標準化されたデータがないため社会的側面(ESGのS課題)の評価が困難であると回答しています(BNP、2019)。パートナーであるEVORA Globalと共同で、Fitwel®の広範な健康エビデンスに基づく革新的ソリューションである「Certified Metricsプログラム」を立ち上げました。これは、財務的価値と健康を重ね合わせ、価値とリスクを明確に示すものです。本プログラムはデータの見方を提供し、GRESB、SASB、EUタクソノミーなどの世界的な基準設定機関に従って、コンプライアンスとESGレポートの作成を支援し、不動産業界の標準化されたパフォーマンスとの比較を可能とします。
このプログラムは2024年に運用開始の予定とされています。
2. 6つのターゲットアウトカム(S課題へのインパクトを定量化する)
健康を促進する建築環境、ESGの取り組み、財務的価値の関係性をエビデンスに基づき1年間調査を行ったところ、以下の6つのターゲットアウトカムに分類されることがわかりました。これらの核となるテーマは、居住者への利益だけでなく、株主に対する不動産資産の魅力とポートフォリオの価値を高めます。
質の高い環境の提供
大気や水質、騒音、メンテナンスなど、基本的な環境衛生上の危害に対するプロジェクトやポートフォリオの有効性を評価します。その結果、持続可能性と全体的な幸福感を高め、資産と地域社会の両方に利益をもたらします。
居住者や地域のステークホルダーとの関わり
社会的指標を活用し、ステークホルダーとの協力関係や懸念事項の解決を評価します。プロジェクトやポートフォリオにフィードバックし、エンゲージメントを育むことで、居住者や地域のステークホルダーとの強固なつながりと持続可能な関係を築くことができます。
ウォーキングとアクティブ・トランスポーテーションのための資産最適化
徒歩、自転車、公共交通機関を通じて、持続可能な移動手段とウェルビーイングを促進する環境づくりの効果を評価します。持続可能な交通機関は、すべての人に利益をもたらします。
気候変動に対するレジリエンスと緊急事態に対する準備の構築
自社のプロジェクトやポートフォリオが、気候変動や緊急事態、災害がもたらす課題をどの程度緩和し適応しているかを評価します。不動産資産のレジリエンスを守ることで、建物と投資の長期的安定性を確保します。
公正性の推進
すべての居住者と従業員にとって、機会・空間・健康への安全なアクセスを保証する政策と、その実行の成功を評価するために社会的指標を活用します。包括性と前向きな変化を促進し、不動産資産の価値を高めます。
豊かな自然へのアクセス
バイオフィリア要素が満遍なく環境に溶け込み、人と自然のつながりが強化されていることを評価するために、社会的指標を採用します。自然とのつながりはウェルビーイングを育み、調和のとれた空間を生み出します。